【開催レポート】 経営成果を分ける「戦略」と「戦術」の違いー 社長が本当に時間を使うべき仕事とは何か

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【開催レポート】

経営成果を分ける「戦略」と「戦術」の違い

社長が本当に時間を使うべき仕事とは何か

今回のオンライン社長塾では、経営において混同されやすい**「戦略」と「戦術」**をテーマに学びました。

日々の経営では、営業活動、資金繰り、採用、会議、業務改善、AI活用など、さまざまな課題が同時に押し寄せます。
その中で社長が陥りやすいのが、本来は現場が担うべき戦術に時間を取られ、社長が担うべき戦略に時間を使えなくなることです。

今回の講義では、戦略と戦術の語源や定義から始まり、会社の規模別に変わる社長の役割、情報収集、革新、AI活用まで、経営者にとって実践的な内容が体系的に整理されました。



戦術とは「現場で繰り返し実行される仕事」


講義の前半では、まず「戦術」の意味が整理されました。

戦術とは、経営に置き換えると従業員の仕事術です。
工場での生産活動、工事現場の作業、営業担当者の定期訪問や新規開拓、簿記、資金繰りなど、繰り返し実行される具体的な業務はすべて戦術に含まれます。

ここで重要なのは、難しい仕事だから戦略になるわけではないという点です。

たとえば、新規開拓営業は難易度が高い仕事です。
しかし、実際には訪問、提案、確認、フォローを繰り返す業務であるため、分類としては戦術です。

また、資金繰りも会社にとって極めて重要な仕事ですが、定期的に確認し、調整し、実行する業務であるため、これも戦術に入ります。

つまり、戦略と戦術の違いは、
重要かどうかではなく、役割と性質の違いで判断する必要があります。



戦略とは「全社的な勝ち方を決める社長の仕事」


一方で、戦略とは何か。

講義では、戦略を全社的な経営競争の勝ち方を決める知恵として整理しました。
どの商品で勝つのか。
どの地域で勝つのか。
どの客層に集中するのか。
競争相手とどのように違いをつくるのか。
限られた経営資源をどこに集中させるのか。

これらは、現場の繰り返し業務ではなく、社長が決めるべき全社の方向づけです。

特に従業員100人以下の会社では、戦略は原則として社長の役目です。
現場から意見を聞くことは大切ですが、最終的に「どこで勝つか」「何を捨てるか」「どこに集中するか」を決めるのは社長です。

ここを曖昧にすると、会社は忙しいのに成果が出にくくなります。
現場は一生懸命動いている。
しかし、そもそも向かう方向や勝ち方が定まっていなければ、努力が業績に結びつきません。



「重要なこと=戦略」ではない


今回の講義で特に印象的だったのは、戦略という言葉の誤用についての整理です。

経営の現場では、次のような使われ方がよくあります。

「会社の方向性が戦略である」
「大きな目標が戦略である」
「重要なものはすべて戦略である」
「長期的なものが戦略で、短期的なものが戦術である」

しかし、講義ではこれらを一つひとつ整理し、戦略と戦術は別物であると解説されました。

目標は、あくまで「どこへ行くか」です。
戦略は、その目標を達成するための「勝ち方」です。
戦術は、その勝ち方に基づいて現場で繰り返し実行する具体的な仕事です。

この違いを理解すると、経営判断が大きく変わります。

たとえば、売上が伸びないときに、営業研修や業務効率化だけを強化しても、根本的な解決にならない場合があります。
そもそも商品、客層、地域、価格、営業方法の選び方が間違っていれば、現場がいくら頑張っても成果は出にくいからです。



業績を大きく左右するのは「社長の願望・目的・戦略」


今回の講義では、経営成果に影響する要素のウェイトも紹介されました。

社長の願望・熱意・向上心が53%。
目的・目標が27%。
戦略が13%。
戦術が7%。

この考え方では、社長の願望・目的・戦略までを含めた社長の役割が、会社の業績に非常に大きな影響を持つことになります。

また、純粋な実行手順として見ても、目的・目標と戦略を合わせた広い意味での戦略が86%、戦術が14%という整理が示されました。

つまり、経営においては、
何をどう頑張るかよりも、何を目指し、どこで勝つかを決めることのほうが重い
ということです。

これは中小企業の経営者にとって、非常に重要な視点です。

社長が毎日現場対応に追われ、戦略を考える時間を取れていない。
社員教育や業務改善には取り組んでいるが、会社全体の勝ち方が曖昧になっている。
このような状態では、努力の量に対して成果が伸びにくくなります。



小さな会社ほど、社長の影響は大きい


講義では、会社規模別に社長が業績へ与える影響についても整理されました。

従業員が0〜5人の会社では、社長が戦略も戦術も、指示も管理も担うため、業績への影響はほぼ社長そのものです。
10人規模でも、指導や教育の多くは社長が担います。
30人規模、100人規模になっても、戦略、目的、目標の決定は社長に残ります。

つまり、中小企業では、会社が伸びるかどうかは社長の実力に強く左右されます。

一方で、社長には実力テストがありません。
社内に社長は一人しかいないため、自分の経営力を客観的に測る機会も少なくなります。

その結果、長く経営を続けるほど、自分の実力を過大評価してしまう危険があります。
講義では、こうした自己評価の歪みが、経営の勉強不足や、業績不振を社員のせいにする姿勢につながりやすいことも指摘されました。

社長に必要なのは、感覚や経験だけに頼るのではなく、
自社の業績を数字で見つめ、同業他社と比べ、学び続ける姿勢です。



情報収集は、社長が直接行うべき重要仕事


戦略を立てるためには、正確な情報が必要です。

講義では、社内にあるデータだけでは十分ではないことも強調されました。
社内データは、売上や利益、顧客リスト、在庫、会計情報など、過去の結果を知るには役立ちます。
しかし、これからの戦略を考えるためには、社外にある情報を取りに行かなければなりません。

特に重要なのは、次のような情報です。

お客様が今、何に困っているのか。
お客様は今後、どの方向へ進もうとしているのか。
競争相手は何を強化しているのか。
市場や業界にどのような変化が起きているのか。
自社の商品やサービスは、実際にどう見られているのか。

このような情報は、現場からの報告だけでは不十分な場合があります。
情報は人を経由するたびに薄まり、解釈が入り、精度が下がるからです。

だからこそ、社長自身が一次情報を取りに行く姿勢が必要です。
訪問型営業や製造業であれば、売り込みを目的としない挨拶訪問を通じて、お客様の決定権者から直接話を聞く。
小売業や飲食業であれば、お客様の動きや競合店の様子を観察する。
こうした地道な情報収集が、切れ味のある戦略につながります。



革新は「思いつき」ではなく、計画的に行うもの


今回の講義では、革新についても具体的に扱われました。

世の中は常に変化しています。
お客様のニーズも、競争環境も、技術も、働き方も変わります。
そのため、会社も同じやり方を続けているだけでは、少しずつ競争力を失っていきます。

革新が必要な領域としては、商品、製造方法、営業地域、客層、営業方法、会計作業などが挙げられました。

古くなった商品を見直す。
競争力の落ちた商品を計画的に入れ替える。
営業地域を客観的に見直す。
時代に合った客層を選び直す。
新規顧客の獲得方法を改善する。
会計作業も、直接粗利益を生むわけではないものの、経営判断を支える仕組みとして改善する。

革新とは、流行に飛びつくことではありません。
自社の目的・目標・戦略に沿って、必要な部分を計画的に変えていくことです。



AI活用も、戦略と戦術を分けて考える


参加者同士の共有では、AI活用や業務自動化についての話題も多く出ました。

特に印象的だったのは、AIによる業務効率化は多くの場合「戦術」の領域にあるという整理です。

AIを使えば、資料作成、議事録、要約、顧客情報の整理、提案文の作成など、現場業務の効率化は進みます。
しかし、AIを導入すれば自動的に会社の業績が上がるわけではありません。

そもそも、どのお客様に、どの商品を、どの価格で、どのように提供するのか。
この戦略が曖昧なまま効率化だけを進めても、「間違った仕事を速く処理する」状態になってしまう可能性があります。

AI活用で大切なのは、ツールの使い方だけではありません。
その前に、業務の定義、目的、改善すべき範囲を明確にすることです。

今回の共有では、AIの使い方そのものよりも、
業務をどう設計するか
どこまでを自動化するか
戦術の中でAIをどう位置づけるか
という視点の重要性が語られました。



参加者の気づき


後半の共有では、参加者からさまざまな実践報告がありました。

ある参加者は、人数が増えるにつれて自分一人では現場を回しきれなくなり、戦術をスタッフに任せる必要性を感じていると共有しました。
全体会議で戦略と戦術の違いを説明し、現場で担うべき仕事を少しずつ移行しているとのことでした。

また別の参加者からは、業務効率化ばかりを強調する支援に対して、「その先にどんな価値を提供するのか」という目的や戦略が見えないことへの違和感が共有されました。
今回の学びを通じて、効率化の前に願望・目的・目標が必要であることが明確になったという感想もありました。

さらに、戦略に時間を使った年は業績が良く、戦術に追われた時期は業績が落ちやすいという実感も共有されました。
これは、多くの中小企業経営者にとって共感しやすいポイントではないでしょうか。

現場での努力は大切です。
しかし、社長が戦略に時間を使わなければ、会社全体の成果は伸びにくい。
今回の講義は、そのことを改めて確認する機会になりました。



経営に必要なのは、知識だけでなく「実践知」


講義の終盤では、経営者に必要な実践知についても触れられました。

同じ戦略論を学んでも、会社によって成果に差が出ます。
それは、単に知識の量だけでなく、社長の価値観、経験、観察力、発想力、判断力が違うからです。

経営では、正解が一つに決まらない場面が数多くあります。
どこに力を入れるのか。
何をやめるのか。
どの市場を狙うのか。
どのタイミングで変えるのか。

こうした判断には、数字や理論だけでなく、物事の本質を見抜く力が求められます。

そのためには、経営の勉強だけでなく、歴史、社会、人の心理、価値観への理解も重要になります。
経営は、単なる作業管理ではなく、人と市場を相手にする総合的な仕事だからです。



今回の学びのまとめ


今回のオンライン社長塾では、戦略と戦術の違いを軸に、社長が本当に担うべき役割が整理されました。

戦術とは、現場で繰り返し実行される仕事。
戦略とは、会社全体の勝ち方を決める社長の仕事。
重要な仕事だから戦略なのではなく、役割と性質によって分ける必要があります。

そして、中小企業においては、社長の願望、目的、目標、戦略が業績に大きな影響を与えます。

現場が頑張っているのに成果が出ない。
社員教育や業務改善に取り組んでいるのに利益が伸びない。
AIや効率化を進めているのに、会社の方向性が定まらない。

そのような課題を感じている経営者にとって、今回のテーマは非常に重要な内容でした。

社長が戦略を学び、考える時間を持つこと。
正確な情報を社長自身が取りに行くこと。
時代の変化に合わせて、商品・客層・地域・営業方法を見直すこと。
そして、戦術は現場が自律的に動けるように整えていくこと。

この積み重ねが、会社の成長力を高めていきます。


このような経営者におすすめです


オンライン社長塾は、次のような課題を持つ経営者に特におすすめです。

日々の現場対応に追われ、戦略を考える時間が取れていない。
社員に任せたいが、何を任せるべきか整理できていない。
売上はあるが利益が伸びにくい。
営業や業務改善を頑張っているのに成果が安定しない。
AIや自動化を導入したいが、経営全体の中でどう位置づけるべきか迷っている。
会社を次の規模に成長させるために、社長自身の経営力を高めたい。

社長塾では、単なるノウハウではなく、経営者としての考え方、判断軸、実践の仕方を学びます。
経営の原理原則を学びながら、自社にどう応用するかを考えられる場です。



次回のテーマ


次回は、ビジネスモデルと競争法則について学ぶ予定です。
自社がどのような仕組みで利益を生み出し、競争の中でどのように勝ち筋をつくるのか。
今回の「戦略と戦術」の理解をさらに深める内容となります。

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